整体なお誕生秘話

はじめに

こんにちは。「整体なお」の直井です。
このページでは、私がどのような思いで施術に向き合い、整体なおを始めたのかをお話ししています。
気軽に読んでいただけたら嬉しいです。


第1章:原点 ~「なんで?」と「不安」を抱えた少年~

茨城県に3人兄弟の真ん中で生まれる、小さな頃から、私の頭の中は「なんで?」「どうして?」でいっぱいでした。
自分の目で確かめ、自分で納得しないと気が済まない。
しかし、その探求心は「当たり前だろ」という一言で片付けられることが多く、私は次第に「世

の中の常識」と自分の感覚との間に、静かな壁を感じるようになりました。

その一方で、私の内側には常に「強い不安」が渦巻いていました。
小中学校の頃は、周りの期待に応えようと必死に頑張り、自分では順調だと思っていました。
しかし、その「頑張りすぎてしまう」という自分の性質が、高校の厳しい野球部で裏目に出ます。

理不尽に感じる練習にも「休みたい」とは言えず、いつ終わるか分からない未来への恐怖で、胃は常にキリキリと痛みました。
その結果、心だけでなく身体も悲鳴をあげ、肘や肩の故障でレギュラーにもなれなかった挫折感。
「自分はダメだ」という劣等感が、心を支配しました。

追い打ちをかけるようにメニエール病を発症し、心身の限界を感じる中で、私は治療家の道を志します。
しかし、就職した接骨院は「終わりが見えない」日々の連続。
流れ作業のような施術に「これでいいのか?」と葛藤し、身体の不調は悪化の一途を辿りました。
不眠、金縛り、記憶の断片化。そしてついに腸閉塞で入院。
心も身体も、完全に壊れてしまったのです。


第2章:探求 ~一筋の光と、芽生えた想い~

ボロボロの心身で、ただマッサージを繰り返す日々。
私は、目の前の患者さんの痛みが「筋肉や骨だけでは、本質的に治らない」という現実に直面していました。
症状はすぐに戻ってしまう。
「本当の原因はどこなんだ?」という、幼い頃からの探求心が、再び頭をもたげます。

答えを探す中で、「内臓の硬さ」「神経の緊張」「感情の影響」といった、目に見えない要素へとたどり着き、そのすべてを包括する「オステオパシー」という光と出会いました。
それは、私の疑問に答えてくれる、唯一の希望のように思えました。

当初の動機は「技術を身につけて認められたい」という自己承認欲求だったかもしれません。
しかし、どこに行っても原因が分からず、「誰もわかってくれない」と涙を流す患者さんとの出会いが、私を変えました。施術を重ねるうちに「ここに来るとホッとする」と言ってくれたその一言で、ようやく気づいたのです。
自分の探究は、誰かを救うことに繋がっていたのだと。
「人のために施術する」という感覚が、本当の意味で芽生えた瞬間でした。

第3章:どん底 ~6年間の停滞と、失われた自信~

心身の限界から接骨院を退職。
しかし、そこからが本当の意味での「どん底」、つまり精神的な閉塞感との長い闘いの始まりでした。

オステオパシーの勉強会やセミナーに通い、知人の紹介で施術をさせてもらいながら、少しずつ経験を積んでいきました。
「35歳で自分の城を持つ」という目標は、ずっと心の片隅にありました。
しかし、学びを深め、目の前のお客様に施術をする一方で、「本当にこの技術で、独立してやっていけるのだろうか」という自信が持てずにいたのです。

理想と現実のギャップ、そして将来への漠然とした不安。
次の一歩を踏み出す勇気が出ないまま、もどかしい時間が6年もの間、私の中に重くのしかかっていました。
そして、その微かな希望すらも、コロナ禍がすべてを奪い去ります。

仕事はほとんどなくなり、先の見えない不安の中で、無理を重ねた身体は再び悲鳴をあげ、腸閉塞で倒れてしまいました。
キャリアも、自信も、健康も、すべてを失いかけた、まさに絶望の淵にいました。


第4章:転機 ~たった一言がくれた勇気~

八方塞がりの暗闇に差し込んだ一筋の光。
それは、コロナ禍という最悪の状況でも、「先生の施術を受けたい」と連絡をくれた、数少ないお客様の存在でした。

その言葉は、「あなたの頑張りも、本当は辛いことも、言葉にしなくても分かっていますよ」と、私の内面を丸ごと肯定してくれたように感じられ、涙が出るほど嬉しかったのです。

この揺るぎない信頼が、「もう一度立ち上がろう」という勇気をくれました。
「完璧じゃなくてもいい。今の私にできる最大限で、この人たちに応えよう」
そう覚悟を決め、6年間の停滞を乗り越え、ようやく「整体なお」の看板を掲げる決意が固まりました。

開業当初は手探りでしたが、かつての仲間やお客様が、次々と口コミや紹介で応援してくれました。
そして、あるお客様が、そのご家族を「夫が良くなったから、ぜひ自分も」と紹介してくれた時、「ここまで来たか」と、ようやく光が見えた気がしました。
「独りよがりじゃダメなんだ」。技術だけでなく、人と繋がり、想いを伝えることの大切さを、心から学んだ大きな転機でした。


第5章:確信 ~すべての経験が繋がった瞬間~

最大の成果は、お客様からの信頼が繋がる「信頼の連鎖」を築けたことです。
しかし、本当の成長は、私自身の内面で起こりました。
身体の勉強を深く続けたことで、かつて自分を苦しめた数々の不調の謎が、ついに解けたのです。

それは、頑張りすぎてしまう自分の性格が、内臓や自律神経に極度の負担をかけた結果だったのだと、ようやく腑に落ちたのです。

特に、疲労やストレスがあると決まって胃の調子が悪くなり、同時に「背中」がバリバリに張る。
その「背中と内臓が会話している」ような感覚から探求を深め、感情と身体を繋ぐ「迷走神経」の存在にたどり着きました。
背中が固まると迷走神経は働かず、不調が生まれる。
このメカニズムを理解した時、これまでの全ての経験と知識が、一本の線で繋がりました。

そうやって施術していく中で印象的だったのは、ある女性の患者さんです。
来院当初は表情も乏しく、言葉数も少なかったのですが、仕事や人間関係のストレスからくる頭痛に悩まされていました。
内臓に働きかけ、自律神経のバランスを整えることで体調は安定し、何度か通ううちに、ご自身の気持ちを話してくれるようになりました。
そしてある日、「家で笑えるようになったんです」と言ってくださったときは、私も思わず胸が熱くなりました。

そして私自身も、その知識と技術で自分自身をケアし、心身をコントロールしながら、もうあの頃のような不安なく生活できるようになりました。
この自分自身の変化こそが何よりの自信となり、私の施術の揺るぎない核となっています。


第6章:私の使命 ~かつての自分のような、あなたへ~

周りの期待に応えようといつも笑顔で頑張り、自分のことは後回し。
心も身体も本当はギリギリなのに、「疲れた」の一言が言えない。
そんな、かつての自分のように「言い出せずに、一人で我慢しすぎてしまう人たち」を、心の底から救いたい。

不調があると、人は優しくなれません。私自身が、そうでした。
でも、少し身体が軽くなるだけで、世界が違って見える瞬間があることを、私は知っています。

あなたのその不調は、あなたのせいでも、気のせいでもない。
「頑張りすぎた身体が、ちゃんとサインを出してくれているんですよ」と伝えたい。

内臓や自律神経という身体の内なる声に耳を傾け、その根本原因を優しく解きほぐすことで、人々が抱える「見えない不調」から解放し、心からの笑顔と安心を取り戻すこと。
それが、私の人生をかけた使命です。

~さいごに~

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
あなたがこの物語を読んでくださったこと、その時間と想いに心から感謝しています。

整体なお 直井昌之